2021年 08月 26日
箱作り製図で思い出しましたが、元々図面の書き方や読み方がわかりませんでした。
図面や編み図も、読み方分からないと謎ですよね。
図面の読み方を教えてもらったのは、一番最初に就職した会社で設計部に配属された時でした。
設計とは無縁な経歴だったため、もちろん図面はサッパリ見方がわかりません。(なんで配属されたのか謎)
正面図は分かるじゃないですか。例えば四角形の寸法があって、このサイズで作るんだな、っていうのは。
ところが正面・上面・側面とかの3面図になると、もう分からなくて混乱するんですよね。
今は3Dモデルで表示するソフトがあるから分かりやすいですが、当時はそういうのなかったので。
四角形の3面図=立方体くらいだとまだ何とかイメージできるんですが、
複雑な形状をそれぞれ、上から見たらこの形、横から見たらこの形ってのがどうにもこうにもイメージできない。
例えば配管とか、下図の3面図から黒い3D形状をイメージできるか、または現物から3面図が描けるか、ということです。
設計部員は図面だけ見て「で、配管径はどう変更する?」とか仕様決めしていくのですが、
私はこの図面が円筒状の分岐つき形状であることが分からない。
そのまま単なる丸と四角の平面にしか見えないから、
がんばって立体を想像しても、キャップのついた四角い瓶みたいなもの?がせいぜいで
側面から見て丸が下にある形っていうのが????となり、理解できない。
空間認識能力が低いのを自覚した瞬間である。
そういえば今も東西南北が分からないし、車庫入れが下手である。実は左と右も一瞬考えないとわからない。
そんな私が図面修正のアシスタントをするのだから、教育担当Oさんは気の毒だった。
自分の仕事を1.5倍くらいの速さで片付けて、根気よく説明してくれた。
理屈はわかるのだが、現場に出ない私は実物を見る機会がなく、
右側面と左側面で形が違ったりする図面だと、もうお手上げなのだった。
ある日、Oさんが私の修正図面を見て吹き出してこう言った。
「これは・・・なかなか斬新な配置設計だな」
そして驚くべきことになぜかOさんが謝ったのだった。
「根本的に教え方が悪かった。いきなり図面修正とかやらせて。あのね、円柱と円錐って形、分かるよね。」
「はい」
「底面図はどんな形?」
「どっちも丸」
「側面図は?」
「四角と・・・・さ、三角?」
「そう、正解。上面図はどんな形?」
「丸と・・・て、点?になるんでしょうか?」
「うん、そう。底面円の中に頂点の点がある。じゃあ、中が空洞の円柱を底面図か上面図に書くときは?」
「・・・二重丸でしょうか」
「そういうことです」
図面の読み方を初めて理解した瞬間である。
それはあたかもヘレン・ケラーが井戸水を片手に受け、片手にW-A-T-E-Rとサリヴァン先生に指文字を書かれ、
全てのものに名前があると理解した時のように、私の脳内にも稲妻が走ったのだった。
「Oさん!やっと分かりましたよ、Oさん!」
「これ、どこが斬新か分かる?」
「壁をつきやぶって、しかも直角に配管してるってことですね」
「そういうことです」
それから今日まで私の心の中で、Oさんはサリヴァン先生と呼ばれ続けている。
分かっている人に、自分がどこが分からないかを伝えることが大事ということも学ばせてもらった。
ありがとう、サリヴァン先生。
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by ogakyo
| 2021-08-26 15:40
| fun to learning
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